③秋祭り ~ 香港粉嶺 龍躍頭 太平清醮

大都会香港にも僅かだが、耕作地が広がる場所は存在する。中国国境近い地区である。地下鉄に乗り中国国境に向け数駅行けば、途端に今までのビル群は姿を消し、形を変え山々が連なる景色が広がり長閑な田園風景が現われるのである。錦上駅、錦田地区。ここには有名な客家の集落が存在する。この地域の村についてはここでは書かないが、この錦田を支配するのが鄧氏一族であり、その子孫が800年前に開村した村が粉嶺にある龍躍頭村である。

 

錦上駅から見た風景

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粉嶺 龍躍頭 長閑な風景

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ビルと田んぼの調和

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龍躍頭を代表する建築物、老圍。鄧一族が構えた住居。家の周りに張り巡らされた堅固な塀が特徴。

 

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小高い山の中腹にある龍山寺から見る風景。簡単な精進料理も食べられる。またこの寺から粉嶺までの無料直通バスが出ている。

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香港マニアックと称し、客家の村々を訪れていた時、偶然にもこの龍躍頭村で十年に一度行われる「太平清醮」に出会ってしまった。毎年実施されるというならば、それなりの確率もあるだろうが、十年に一度の祀りである。偶然を通り越して、不思議なご縁を感じてしまった。

 

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当日は祀りの最終日、神がお戻りになる日。丁度その儀式が終わり、今まで廟内にいた村人逹が前庭に流れ出て来た時だった。既に前庭には簡易長椅子が設けられ、飲み物や、おそらくお供え物と思われる豚肉等が並べられていた。折角来たのだから、中に入って覗いてみたいと言う好奇心を抑えられず、ズンズン中に入って行くと、やはり私達同様観光で来ていた人達も数人見受けられた。有難い事に、祭儀を司っていた神祇官と思しき方に「 あなた達も肉を取って食べて 」と気さくに勧められ、厚かましくもご相伴に預かった。それから地元の人の案内で、山の中腹にある龍山寺に行く等、楽しい出会いと時間を充分堪能することができた。

 

 

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子孫の人々で内々に実施される龍躍頭村の太平清醮。今思い出しても、何故か懐かしく、あの賑やかさを感じることができる。

 

全ての素敵な出会いに感謝である。